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2025-12-16 23:52:00

フェムケアについて

 フェムケアとは、デリケートゾーンを中心とした女性特有の問題をケアする行為やそれを補助する製品などのことを言います。

 当院の外来でも、閉経後やピル・ミニピルを使用中の膣の乾燥感・痒み・痛み、性交痛、繰り返す腟炎など、しばし見受けられます。
 正常な腟内には善玉菌である乳酸桿菌(ラクトバチルス、デーデルライン桿菌)が豊富に存在し、分泌する乳酸により腟内を弱酸性に保つことで良好な環境を維持しています。この善玉菌の元気が無くなったり減少すると前朮の症状を呈したり頻尿などの泌尿器症状にも影響が有る可能性が有ります。
 閉経後やホルモン治療中はエストロゲンの分泌が低下することにより粘膜上皮の委縮とともに乳酸桿菌の減少がしばしばみられます。整腸剤の様に善玉菌を含む婦人科の治療薬は無く、局所的な女性ホルモン剤の治療等しか選択肢は無かったのですが、本年11月に開催された日本女性医学学会で乳酸桿菌を含むフェムケアに関する講演が有り、ホルモン剤以外の方法で多くの方に効果が期待出来ると判断し、当院でも利用できるよう準備しました。

 待合室にサンプルも置いてありますのでご来院の際は手に取ってお試しください。
 https://estre.jp/

 製品としては洗浄用ソープ・腟内用ジェル・ジェルクリーム・オイルなど、すべて乳酸桿菌を含み、有害物質を含まない安全なものです。ニオイにうるさい院長の私も皮膚に使用してみましたが全く嫌なにおいや不快感もなく、オイルを使用した手はガサツキが消えて10年ほど若返った様です。ご興味ある方は診察時や受付にてご相談ください。 

※昨今は除菌・抗菌の洗剤・柔軟剤などが広く使用されていますが、我々が身体に備え持ち共存している善玉菌のことを考えますと、それらの使用は慎重に考えるべきではないかと思っております。                             

院長:須藤敦夫

2025-11-03 22:58:00

「香害」ご存知ですか?

 昨今、日本の洗濯洗剤・柔軟剤・シャンプー・トリートメントなどの香りによる健康被害が話題になっています。朝、窓を開けて新鮮な空気を味わおうとしても、洗濯物から漂っているであろう人工的な香りを感じてしまうこの頃です。

 HPのもお知らせしている様に、私自身、様々な物質に暴露することにより頭痛・動悸・息苦しさ・悪心・思考力低下などを来してしまうことが有り、それについて色々調べていると、特ににおいが気にならない皆さんにとっても見過ごすことのできない健康への影響が有ることがわかってきました。

 クリニックではそれらに関する動画を流したりしていますので、関連の資料をHP上でも紹介しておきたいと思います。
細かいこてゃ省きますが、最近の洗剤・柔軟剤になどに含まれる人工香料、それを包むマイクロカプセル(マイクロプラスチック)、除菌消臭に使用される薬剤、嗅覚を麻痺させる物質などが人体や環境に大きな影響を及ぼすことが強く懸念されている状況です。
 欧州では既に身の回りの商品へのマイクロカプセル使用を禁止しています。この夏北欧に行きましたが、駅・電車・スーパー・レストラン・ホテルのどこへ行っても全く不快なニオイを感じませんでした。花粉が無ければ花粉症にならないのと同様、有害な人工香料が無ければ不快な症状も出ないのですね。
https://www.jetro.go.jp/biznews/2023/10/82120f7f222ee744.html

 学校での給食当番エプロン。一度柔軟剤や洗剤のニオイがついてしまうとなかなか取れません。メーカーに質問すると「ニオイを除去する方法は無い」との答えが返ってきたそうです。最近では自分持ちのエプロン使用OKの学校が増えてきたそうです。
 教室内も相当のにおいがすることが想像されますが、生徒の10%は健康被害を受けているとの報道が有りました。ニオイに弱い私なら今の学校で毎日元気に通うことはきっと難しいことでしょう。
 https://www.tokyo-np.co.jp/article/430158

 婦人科診療や漢方診療にとっても事態は重大です。皆さんがお悩みの症状の背景に「香害」の関与が有る可能性が否定できません。
洗剤・柔軟剤に使用されている物質により皮膚・粘膜・感覚器(眼・耳・鼻)・呼吸器・心臓・血管・肝臓・腎臓・脳・神経・筋肉・精神・生殖器などへの影響が懸念されています。
 フタル酸エステルなどはホルモンかく乱物質として知られており子宮筋腫を増大させることが知られています。https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/23/011700025/

精子・卵子絵の影響も懸念されています。
https://www.cnn.co.jp/fringe/35234999.html

 その他、外来で遭遇する以下の症状:頭痛・めまい・肩こり・頸凝り・耳鳴り・疲れやすい・倦怠感・やる気が出ない・イライラ・クヨクヨ・不眠・記憶力の低下・学習能力の低下・怒りやすい・攻撃性・依存性・動悸・息切れ・咳が止まらない・全身の痒み・局所の痒み・全身の痛み・便秘・下痢・頻尿・排尿痛・舌痛症・嗅覚障害・脱毛・肌荒れ・アトピー・失神・蕁麻疹・月経不順・月経困難症・不妊などあらゆる症状と関連が有る可能性が有ります。
https://www.city.saku.nagano.jp/kenko/kenkozoshin/topics/kagakubusitu.html
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.med.or.jp/dl-med/people/plaza/550.pdf

 20年前の日本では合成洗剤でも現在のような過剰なニオイは無かったはずです。現在でも無香料や天然の香料を使用した洗剤は売られており、むしろ洗浄力もしっかりあり柔軟剤が不要だったりクエン酸などで充分対応出来るようです。
 私もシャボン玉石鹸の洗剤を使用し、風呂では頭まで無香料の牛乳石鹸を使用して、内緒ですが薄毛の進行も止まっています。

 

 以下は現在クリニックで流している動画の一部です。宜しければご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=c_t2mVtOKlc&list=PLZQPxiGgYfPws-xhg5VVEz3AmtIRJa2Jb&index=2

 

https://www.youtube.com/watch?v=52xVBrqfaHo&list=PLZQPxiGgYfPws-xhg5VVEz3AmtIRJa2Jb&index=5

 

https://www.youtube.com/watch?v=v0Vs2aI1Bq8&list=PLZQPxiGgYfPws-xhg5VVEz3AmtIRJa2Jb&index=6

 

https://www.youtube.com/watch?v=Fj-jkfHNiKE&list=PLZQPxiGgYfPws-xhg5VVEz3AmtIRJa2Jb&index=7

 

https://www.youtube.com/watch?v=l10CWhy3dTg&list=PLZQPxiGgYfPws-xhg5VVEz3AmtIRJa2Jb&index=9

 

https://www.youtube.com/watch?v=m1aVyEmX2ek&list=PLZQPxiGgYfPws-xhg5VVEz3AmtIRJa2Jb&index=11

 

https://www.youtube.com/watch?v=eKVSDkttTaw&list=PLZQPxiGgYfPws-xhg5VVEz3AmtIRJa2Jb&index=13

待合室に安全な洗剤の見本も置いてみたいと思います。来院時にご覧頂けましたら幸いです。

 

2025-04-06 00:01:00

クリニック名の由来

 そろそろサクラが咲き始めました。皆さんも近所や名所で桜を楽しんでいらっしゃることでしょう。誠に春を象徴する美しい花ですね。
 さて、「すみれクリニック」の名前の由来を今回はお話します(開業時にHPに書くつもりでしたが忙しさに紛れて大変遅くなりました)。

 

すみれクリニックでは「婦人科と漢方診療」を行います。漢方診療は女性だけではなく老若男女を対象にしますので「女性と家族の ○○クリニック」と付けることはすぐ決まりました。問題はそのあとです。覚えやすく親しみやすいクリニック名を付けたいと思い名前探しが始まりました。毎晩色々と考え、それにふさわしいと思われる名称が沢山浮かびました。しかしどれも既にほかのクリニック・薬局・介護施設などに使用されておりました。
 開業は秋の予定でしたが、物事の始まりにふさわしい春の花、「サクラ」も候補の一つでした。「サクラ」、とても良いのですが近隣の他のクリニックに既に使用されており断念。「若葉」も良いなあ。初々しくもこれからの成長を期待できる良い名前です。これは他には使われていません。ただし「若葉マーク」は自動車運転における初心者マークのイメージが有り、少し頼りなく思われてしまう懸念が有りました。また、一文字違いのクリニックが他にあり、間違いが有ってもいけません。ノートには候補名がたくさん並びましたが決め手となるものがありませんでした。

 

クリニックの開業場所も決まった4月、とある場所にお花見に出かけました。川の土手にずらりと並ぶ見事な桜の堤を歩ながらもクリニック名どうしようと考えておりました。土手沿いのサクラの樹々を少し下から写真に撮ろうと斜面を下った時のことです。足元に可憐な紫色の花が咲いておりました。
 久しぶりに見る「スミレ」です。仰ぎ見る桜はとても華やかで奇麗ですが、足元にそっと健気に咲いていて、小さいながらもビロードのような質感の花びらを持つ可憐なスミレも良いものです。調べてみるとスミレの花言葉は「謙虚」「誠実」「小さな幸せ」「愛」などとあります。素晴らしいではありませんか!

 

スミレ(すみれ、菫)には実は馴染みが有りました。私が初めて社会に出た(幼稚園に入っただけですが・・)のが、とある町の「若葉幼稚園、すみれ組(年少)」だったのです。その後年が上がるにつれてほし(星)組、ひかり(光)組と変わりましたが、初めての社会生活である年少時代の記憶が強く残ったのでしょう、私の幼稚園の思い出の大半は「若葉幼稚園、すみれ組」の時のものであり、スミレは私にとって愛すべき花、誇らしい花となっていたのでした。
 そんなスミレに久々に出会い考えました。医師生活は長いけれども開業は初めて。ならば初めて世の中に出たときの「すみれ組」にあやかり、クリニック名は「すみれクリニック」にしようと。 


 こうしてクリニック名は「女性と家族の すみれクリニック」となりました。花言葉の通り、誠実な医療を実施していきたいと思っております。

  

※余談ですが、スミレは英語でviolet、イタリア語ではviola。ホームセンターや園芸店に並ぶビオラはスミレの園芸品種です。綴りは弦楽器のヴィオラも同じです。violaの小さいものがviolino=violinバイオリン。偶然にも娘たちがそれらを弾いていたりして、スミレにはご縁が有るのだなあと思いました。
 もう一つ、後から気が付いたのですが、私の誕生日の数字を語呂合わせ的に読むと何ということでしょう、「スミレ」になるのでした。これはもう謙虚・誠実に生きるしかありませんね。

 

                                                             2025年 4月吉日

 

 

 

 

 

2024-04-29 22:04:00

ミニピルについて

 最近ミニピルについての質問やご希望を頂くことが多くなって参りましたのでそれについて書いてみます。

 月経痛や子宮内膜症の代表的な治療薬としてピルとミニピルが有ります。もちろん漢方もその一つです。
 ピルは女性ホルモンの中心であるエストロゲンと黄体ホルモンの2種類を合わせた薬で、一方のミニピルは黄体ホルモンのみの薬です。どちらも黄体ホルモンを含んでいることから、身体は妊娠状態に近くなり排卵が止まり、まとまった月経がなくなるため、偽妊娠療法と言われています。


 エストロゲンは子宮内膜を厚く増殖させる働きが有り、黄体ホルモンは子宮内膜の増殖を抑制します。厚くなった子宮内膜が剥がれると出血になります。その他エストロゲンは骨代謝・脂質代謝・血圧などにも影響が有ります。

 ピルはエストロゲンを含んでいるため通常は4週毎に軽い出血が有ります。規則的に出血が有った方が良いという方に向いていると言えます。もともとの月経より出血の量は少なくなり、痛みも改善するという理屈です(時に少量でも痛いという方も)。最近は3か月連続服用のピルも有り選択肢も増えています。ただ、エストロゲンが肝臓で代謝される際に血液凝固機能に影響が生じ、血栓症のリスクが稀ですが有ります。また、成長期・思春期の場合では骨形成に影響を及ぼす可能性が指摘されており慎重な使用が必要とも言われています。

 ミニピル(ジェノゲスト)は黄体ホルモンのみでエストロゲンを含まないため、血栓症のリスクがほぼ有りません。使用を続けていくとほとんど出血が無くなるため月経痛さらにはPMSにも有効な場合が多くあります。ピルの血栓症リスクを懸念される方にはとても良い選択肢となります。また、もともとのエストロゲン分泌をあまり抑制しないので骨形成への影響が少なく、思春期や40歳以降の方に安心して使える薬です。良いことずくめの様ですが、デメリットとしては不正出血が有ります。多くは少量ですが、落ち着くまで数か月かかる場合が有ります。解決しない場合は漢方を併用したり他の薬に変更します。

 漢方薬は、主に植物由来の生薬を組み合わせた薬で、気・血・水などのめぐりを改善したり、心身や筋肉の緊張を緩和することで月経痛を改善します。漢方だけで月経痛が十分良くなる方もいらっしゃれば、ピルやミニピルに漢方を併用する場合も有ります。

以上、月経痛に対する治療について書いてみました。ご自分に合った治療が見つかりましたら幸いです。

2024-04-02 22:34:00

性交経験の無い方の超音波検査

 現在は学校の春休み期間のため、中高生や大学生の受診が多い時期です。

 月経痛や月経不順などで受診の場合、その背景に子宮・卵巣の異常(子宮内膜症や子宮・膣の形成異常など)がないかどうか調べる必要が有ります。
 性交経験のある方には膣から捜査端子を挿入して観察する「経腟超音波検査」が骨盤内の異常を調べるために非常に有用な検査です。子宮・卵巣についてはMRI検査と同等の精度が有りながら、外来の診察台で、MRIよりも短い時間(数分)で安価に実施することができます。
 性交経験の無い場合、腹壁の薄い小学生などではお腹の上から行う「経腹超音波検査」を実施します。中高生から大学生になりますと腹壁が厚くなり、子宮卵巣との距離も大きくなりますから、お腹の上からの検査では正確な情報が得られないことが多いのが現状です。
 そのような場合、捜査端子を肛門から挿入して観察する「経直腸超音波検査」が有用です。膣からの検査と同等の画像が得られます。捜査端子は毎日出るお通じ(便)よりも細いので痛みはほとんどなく、皆さん会話をしながら検査が行えるレベルです。決して恐ろしい検査ではありませんので、必要な際はお受けになることをお勧め致します。

 若年者の受診の場合、お母さんが付き添うことが多いのですが、お母さんが検査を怖がってしまうとお子さんも不安になります。その結果病変の見落としや、病変の発見に時間が掛かってしまう可能性も否定できません。
 あるいは薬などでも粉の薬や漢方は飲めないと決めつけてしまう場合がしばしば見受けられます。漢方薬は、皆さんが思っている程苦い薬は多くはありません。多少苦みが有っても、漢方薬は体に合っていると「美味しく感じる」と言われています。古くから伝わる「良薬口に苦し」という言葉も貴重な教えです。また、お母さんが辛い物が苦手でも、案外お子さんは平気だったりします。お子様を心配するお気持ちは重々承知しておりますが、治療の幅を狭めてしまうことのないよう、切に願うばかりです。

 

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