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2025-04-06 00:01:00

クリニック名の由来

 そろそろサクラが咲き始めました。皆さんも近所や名所で桜を楽しんでいらっしゃることでしょう。誠に春を象徴する美しい花ですね。
 さて、「すみれクリニック」の名前の由来を今回はお話します(開業時にHPに書くつもりでしたが忙しさに紛れて大変遅くなりました)。

 

すみれクリニックでは「婦人科と漢方診療」を行います。漢方診療は女性だけではなく老若男女を対象にしますので「女性と家族の ○○クリニック」と付けることはすぐ決まりました。問題はそのあとです。覚えやすく親しみやすいクリニック名を付けたいと思い名前探しが始まりました。毎晩色々と考え、それにふさわしいと思われる名称が沢山浮かびました。しかしどれも既にほかのクリニック・薬局・介護施設などに使用されておりました。
 開業は秋の予定でしたが、物事の始まりにふさわしい春の花、「サクラ」も候補の一つでした。「サクラ」、とても良いのですが近隣の他のクリニックに既に使用されており断念。「若葉」も良いなあ。初々しくもこれからの成長を期待できる良い名前です。これは他には使われていません。ただし「若葉マーク」は自動車運転における初心者マークのイメージが有り、少し頼りなく思われてしまう懸念が有りました。また、一文字違いのクリニックが他にあり、間違いが有ってもいけません。ノートには候補名がたくさん並びましたが決め手となるものがありませんでした。

 

クリニックの開業場所も決まった4月、とある場所にお花見に出かけました。川の土手にずらりと並ぶ見事な桜の堤を歩ながらもクリニック名どうしようと考えておりました。土手沿いのサクラの樹々を少し下から写真に撮ろうと斜面を下った時のことです。足元に可憐な紫色の花が咲いておりました。
 久しぶりに見る「スミレ」です。仰ぎ見る桜はとても華やかで奇麗ですが、足元にそっと健気に咲いていて、小さいながらもビロードのような質感の花びらを持つ可憐なスミレも良いものです。調べてみるとスミレの花言葉は「謙虚」「誠実」「小さな幸せ」「愛」などとあります。素晴らしいではありませんか!

 

スミレ(すみれ、菫)には実は馴染みが有りました。私が初めて社会に出た(幼稚園に入っただけですが・・)のが、とある町の「若葉幼稚園、すみれ組(年少)」だったのです。その後年が上がるにつれてほし(星)組、ひかり(光)組と変わりましたが、初めての社会生活である年少時代の記憶が強く残ったのでしょう、私の幼稚園の思い出の大半は「若葉幼稚園、すみれ組」の時のものであり、スミレは私にとって愛すべき花、誇らしい花となっていたのでした。
 そんなスミレに久々に出会い考えました。医師生活は長いけれども開業は初めて。ならば初めて世の中に出たときの「すみれ組」にあやかり、クリニック名は「すみれクリニック」にしようと。 


 こうしてクリニック名は「女性と家族の すみれクリニック」となりました。花言葉の通り、誠実な医療を実施していきたいと思っております。

  

※余談ですが、スミレは英語でviolet、イタリア語ではviola。ホームセンターや園芸店に並ぶビオラはスミレの園芸品種です。綴りは弦楽器のヴィオラも同じです。violaの小さいものがviolino=violinバイオリン。偶然にも娘たちがそれらを弾いていたりして、スミレにはご縁が有るのだなあと思いました。
 もう一つ、後から気が付いたのですが、私の誕生日の数字を語呂合わせ的に読むと何ということでしょう、「スミレ」になるのでした。これはもう謙虚・誠実に生きるしかありませんね。

 

                                                             2025年 4月吉日

 

 

 

 

 

2024-04-29 22:04:00

ミニピルについて

 最近ミニピルについての質問やご希望を頂くことが多くなって参りましたのでそれについて書いてみます。

 月経痛や子宮内膜症の代表的な治療薬としてピルとミニピルが有ります。もちろん漢方もその一つです。
 ピルは女性ホルモンの中心であるエストロゲンと黄体ホルモンの2種類を合わせた薬で、一方のミニピルは黄体ホルモンのみの薬です。どちらも黄体ホルモンを含んでいることから、身体は妊娠状態に近くなり排卵が止まり、まとまった月経がなくなるため、偽妊娠療法と言われています。


 エストロゲンは子宮内膜を厚く増殖させる働きが有り、黄体ホルモンは子宮内膜の増殖を抑制します。厚くなった子宮内膜が剥がれると出血になります。その他エストロゲンは骨代謝・脂質代謝・血圧などにも影響が有ります。

 ピルはエストロゲンを含んでいるため通常は4週毎に軽い出血が有ります。規則的に出血が有った方が良いという方に向いていると言えます。もともとの月経より出血の量は少なくなり、痛みも改善するという理屈です(時に少量でも痛いという方も)。最近は3か月連続服用のピルも有り選択肢も増えています。ただ、エストロゲンが肝臓で代謝される際に血液凝固機能に影響が生じ、血栓症のリスクが稀ですが有ります。また、成長期・思春期の場合では骨形成に影響を及ぼす可能性が指摘されており慎重な使用が必要とも言われています。

 ミニピル(ジェノゲスト)は黄体ホルモンのみでエストロゲンを含まないため、血栓症のリスクがほぼ有りません。使用を続けていくとほとんど出血が無くなるため月経痛さらにはPMSにも有効な場合が多くあります。ピルの血栓症リスクを懸念される方にはとても良い選択肢となります。また、もともとのエストロゲン分泌をあまり抑制しないので骨形成への影響が少なく、思春期や40歳以降の方に安心して使える薬です。良いことずくめの様ですが、デメリットとしては不正出血が有ります。多くは少量ですが、落ち着くまで数か月かかる場合が有ります。解決しない場合は漢方を併用したり他の薬に変更します。

 漢方薬は、主に植物由来の生薬を組み合わせた薬で、気・血・水などのめぐりを改善したり、心身や筋肉の緊張を緩和することで月経痛を改善します。漢方だけで月経痛が十分良くなる方もいらっしゃれば、ピルやミニピルに漢方を併用する場合も有ります。

以上、月経痛に対する治療について書いてみました。ご自分に合った治療が見つかりましたら幸いです。

2024-04-02 22:34:00

性交経験の無い方の超音波検査

 現在は学校の春休み期間のため、中高生や大学生の受診が多い時期です。

 月経痛や月経不順などで受診の場合、その背景に子宮・卵巣の異常(子宮内膜症や子宮・膣の形成異常など)がないかどうか調べる必要が有ります。
 性交経験のある方には膣から捜査端子を挿入して観察する「経腟超音波検査」が骨盤内の異常を調べるために非常に有用な検査です。子宮・卵巣についてはMRI検査と同等の精度が有りながら、外来の診察台で、MRIよりも短い時間(数分)で安価に実施することができます。
 性交経験の無い場合、腹壁の薄い小学生などではお腹の上から行う「経腹超音波検査」を実施します。中高生から大学生になりますと腹壁が厚くなり、子宮卵巣との距離も大きくなりますから、お腹の上からの検査では正確な情報が得られないことが多いのが現状です。
 そのような場合、捜査端子を肛門から挿入して観察する「経直腸超音波検査」が有用です。膣からの検査と同等の画像が得られます。捜査端子は毎日出るお通じ(便)よりも細いので痛みはほとんどなく、皆さん会話をしながら検査が行えるレベルです。決して恐ろしい検査ではありませんので、必要な際はお受けになることをお勧め致します。

 若年者の受診の場合、お母さんが付き添うことが多いのですが、お母さんが検査を怖がってしまうとお子さんも不安になります。その結果病変の見落としや、病変の発見に時間が掛かってしまう可能性も否定できません。
 あるいは薬などでも粉の薬や漢方は飲めないと決めつけてしまう場合がしばしば見受けられます。漢方薬は、皆さんが思っている程苦い薬は多くはありません。多少苦みが有っても、漢方薬は体に合っていると「美味しく感じる」と言われています。古くから伝わる「良薬口に苦し」という言葉も貴重な教えです。また、お母さんが辛い物が苦手でも、案外お子さんは平気だったりします。お子様を心配するお気持ちは重々承知しておりますが、治療の幅を狭めてしまうことのないよう、切に願うばかりです。

 

2023-12-16 23:21:00

貧血と言われている方へ

 健康診断で貧血を指摘されたり、だるい・疲れやすい・動悸・息切れ・頭痛・めまいなどの症状をきっかけに貧血治療をされている方は多いと思います。
 多くの貧血は鉄欠乏性貧血と呼ばれる貧血で、鉄分の摂取不足や出血などにより生じます。軽度の貧血は血液の材料となる鉄剤を飲むことで一時的には治りますが、さて、その貧血の原因は何だったのでしょう?
 月経のある女性は毎月の月経(生理)で血液を失います。当科を受診される方の貧血の多くは子宮筋腫や子宮腺筋症により毎回の月経時の出血量が多くなることで生じています。筋腫や腺筋症は良性の疾患ですが、女性ホルモンによって進行するため、月経のある間は増大して毎月の出血量は増加していきます。出血の増大により生じた貧血であれば、鉄剤を飲むだけの治療は「穴が開いて水漏れしているバケツに水を継ぎ足している」様な状況です。穴(原因)を見つけて塞ぐ努力が必要となります。
 出血量が多くなり婦人科を受診した時には既に子宮は手術をすべき大きさに育ってしまっていることがしばしば見受けられます。もう少し早く来て頂ければ手術をせずに閉経を迎えられたのではないかと思うこともしばしばです。

 現在は月経を一時的に止めたり筋腫・腺筋症の進行をある程度抑える治療も可能です。毎回の出血量をある程度減らす治療も漢方を含め可能です。貧血と言われている方、鉄剤を飲むだけではなく、一度は婦人科で貧血の原因となる疾患(子宮筋腫や子宮腺筋症など)がないか検査されることをお勧めいたします。

2023-10-15 13:57:00

子宮体癌検査は痛い検査?

 不正出血などで来院された方には、子宮頸癌検査に加えて子宮体癌検査が必要になることが有ります。その旨をお伝えすると「痛い検査ですよね?」とのお返事を頂くことが多くあります。過去の経験であったり、お友達からもそう聞いている方も多いようです。中には、検査が怖くて受診を躊躇されていた方も少なからずいらっしゃいます。

 子宮頸癌検査は子宮の出口を軽く擦る程度で殆ど痛みはありません。それに対して子宮体癌検査は子宮内に細胞採取器具(ブラシや樹脂製ループなど)を挿入して細胞を取ります。子宮内の操作や挿入時に多少の痛みを伴う可能性は有ります。

 当院ではなるべく痛みの無い様に診察器具や採取器具を厳選し、そこに至るまでも細心の注意をもって行っております。

 お陰様で「思ったいた程痛くなかった」「もう終わったのですか?」「全然痛くなかった」等のお声を頂いております。中にはどうしても痛みを生じてしまうことも有りますが、当院では絶叫したり失神しそうになる方はいらっしゃいません。性交経験がなくても実施可能な場合も有ります。

 当院の子宮体癌検査は「それ程痛い検査ではありません」。
 検査が怖くて受診を躊躇されている方、あまり怖がらずに受診して頂けましたら幸いです。

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