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2023-12-16 23:21:00

貧血と言われている方へ

 健康診断で貧血を指摘されたり、だるい・疲れやすい・動悸・息切れ・頭痛・めまいなどの症状をきっかけに貧血治療をされている方は多いと思います。
 多くの貧血は鉄欠乏性貧血と呼ばれる貧血で、鉄分の摂取不足や出血などにより生じます。軽度の貧血は血液の材料となる鉄剤を飲むことで一時的には治りますが、さて、その貧血の原因は何だったのでしょう?
 月経のある女性は毎月の月経(生理)で血液を失います。当科を受診される方の貧血の多くは子宮筋腫や子宮腺筋症により毎回の月経時の出血量が多くなることで生じています。筋腫や腺筋症は良性の疾患ですが、女性ホルモンによって進行するため、月経のある間は増大して毎月の出血量は増加していきます。出血の増大により生じた貧血であれば、鉄剤を飲むだけの治療は「穴が開いて水漏れしているバケツに水を継ぎ足している」様な状況です。穴(原因)を見つけて塞ぐ努力が必要となります。
 出血量が多くなり婦人科を受診した時には既に子宮は手術をすべき大きさに育ってしまっていることがしばしば見受けられます。もう少し早く来て頂ければ手術をせずに閉経を迎えられたのではないかと思うこともしばしばです。

 現在は月経を一時的に止めたり筋腫・腺筋症の進行をある程度抑える治療も可能です。毎回の出血量をある程度減らす治療も漢方を含め可能です。貧血と言われている方、鉄剤を飲むだけではなく、一度は婦人科で貧血の原因となる疾患(子宮筋腫や子宮腺筋症など)がないか検査されることをお勧めいたします。